ポールアンソニーサムエルソン(1915年-2009年)「経済学」
20世紀後半を代表するアメリカの経済学者のサムエルソンは経済学を科学として確立した天才として理論経済学や多岐にわたる応用経済学の分野で幅広く活躍し近代経済学の父とも呼ばれ、ケインズ経済学と新古典派経済学を総合する新古典派総合の理論を確立した経済学者として知られています。1948年に出版した「経済学」は全世界でベストセラーを記録し、文字通り経済学の標準敵な入門教科書をとしていまも読み継がれる名著となっています。この経済学には経済学の基本的な命題や分析方法がまんべんなく盛り込まれており、経済的組織の基礎的な諸問題、近代経済における始業と指令、需要と供給の原理といっ経済学の基礎的な概念に始まり、マクロ経済学の基本的概念と政策、ミクロ経済学(供給、需要、製品市場)賃金、レント、及び利潤、所得の分配、経済成長と国際貿易などに至るまで内容が網羅的かつ詳細記述されています。
1955年に改定された第三版ではアダムスミスに始まる古典派とケインズ経済学を融合させ「新古典派総合」という経済学の新潮流を生み出しています。サムエルソンが経済学を科学として確立したという評価はここでケインズの所得理論を数学的に価格理論と融合する試みを行ったことからもたらされており、「新古典派総合」は数学的理念によって裏付けられた科学的な理論体系となっています。
この理論は不況時に公共投資を実施することによる有効性を指摘し、総需要政策で景気の過熱や過度の後退を避けることで成長を維持できるとし、新古典派経済学とケインズの唱えたマクロ経済学を融合を図る理論となっています。その結果1970年にはノーベル経済学賞を需要し、サムエルソンの名は一層高まることとなりました。同様にこの新古典派総合の理論は日本の1960年代の民主党政権に多大な影響力を与えることになります。
80年代には規制緩和と民営化の推進によって市場を有効機能させるべきだという市場本位型の新保守主義が台頭しますが、90年代になって再び新古典派総合的な混合経済体制(ミクロは市場原理に任せ、マクロは政府がコントロールする)への流れが強まり、その後はアメリカ経済学会の主流派を形成しています。
サムエルソンはノーベル経済学賞受賞後、1970年代のスタグフレーション(不況下のインフレ)に、サミュエルソンは有効な対策を提唱できず一時影響力を弱めることになりましたが、経済学会に多大な影響と業績を残し2009年にマサチューセッツ州の自宅で死去なされました。
シュンペーター(1883-1950) の景気循環理論
◆ヨーゼフアロイスシュンペータ―(1883-1950) シュンペータの景気循環理論
20世紀前半を代表する経済学者としてケインズと並び称されるシュンペータ―はケインズのもっとも痛烈な批判者でした。理論的な立場はもとより政治の世界でせっきょ区的に政策に関与したケインズに対して理論体系の構築に全精力を注ぎこんだのがシュンペータでした。
シュンペータが40代の終わりにハーバード大学の招きをうけてアメリカにわたり完成させた著書が「景気循環論」です。その副題は資本主義家庭の理論的・歴史的・統計的分析」です。 ここでシュンペーターは景気循環のメカニズムを分析するためにそれまでのキチン循環、ジュグラ―循環、コンドラチェフ循環という異なる景気循環のプロセスを複合的に捉えています。 そして景気循環の本質は外的な要因による変化ではなく企業家の革新による自立的変化による減少だという考えを導き出しています。企業家の革新とはシュンペーターの理論の中心概念であり今もイノベーションといった言葉で企業家精神として受け継がれています。イノベーションは初期の著書『経済発展の理論』では新結合と呼んでいました。イノベーションとは企業家の革新として経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することでありシュンペーターはイノベーションとして以下の5類型を提示しています。
- 新しい財貨の生産
- 新しい生産方法の導入
- 新しい販売先の開拓
- 新しい仕入先の獲得
- 新しい組織の実現(独占の形成やその打破)
経済発展は生産要素の革新から生まれその革新による錯乱作用が均衡状態を回復するとき、新しい価値体系と大量の生産物が生まれ、このダイナミックな景気循環繰り返しの中で資本主義は進歩を遂げてきました。 しかしその進歩のなかで大企業の出現、企業組織の官僚化、革新の組織化といった同意かの避けがたく進展しています。それが経済の社会主義的管理と企業家個人の能力の低下、衰退を招き、それはやがて資本主義経済の崩壊に向かうだろうと予見しました。
ハーバード大学でサンエルソンやガルブレイズらのちの一流経済学者を育てるなどシュンペーターの果たした役割は非常に大きく企業家の革新性を重要視した経済の見方はいまも企業家たちのあくぃだで幅広く支持されています。
そのスケールの大きな理論は20世紀後半に爆発的な発展を遂げた世界経済を買い得するための遺産を数多く残しています。
◆ジュグラー循環 物価
利子率の変動などから経済活動には7-10年周期の循環運動があることを理論づけをしている。 中期波動とも呼ばれる。企業の設備投資に起因しています。フランスの経済学者J・クレメンス・ジュグラーが1860年の著書の中でその存在を主張したため、シュンペーターの景気循環論から「ジュグラー循環」と呼ばれています。
◆キチン循環
平均40か月の周期をもつ循環があり4つのジュグラ―循環には2.3個の小循環があることを説明しています。 キチンの波は在庫 の増減に伴い生じる景気循環であるとされており、在庫循環とも呼ばれアメリカの経済学者であるジョセフ・A・キチンが提唱したことによりその名前の由来となっています。
◆コンドラチェフ循環
卸売物価指数、公債価格、賃金率、輸出乳額、石炭生産量、鉄生産量を分析して50年前後の長期波動を発見しました。ロシアの経済学者ニコライ・ドミートリエヴィチ・コンドラチエフによる1925年の研究でその存在が主張されたことから、シュンペーターの景気循環論によって「コンドラチェフの波」と呼ばれ、その要因としてシュンペーターは技術革新を唱えています。第1波の1780 – 1840年代は、紡績機、蒸気機関などの発明による産業革命、第2波の1840 – 1890年代は鉄道建設、1890年代以降の第3波は電気、化学、自動車の発達によると分析しています。
◆クズネッツ循環 約20年の周期の循環
アメリカの経済学者サイモン・クズネッツが1930年にその存在を主張したことから、「クズネッツの波」と呼ばれ、商品の生産量と価格の系列らトレンドを除き20年を少し上回る平均周期をもった循環を発見しています。 約20年という周期は、住宅や商工業施設の建て替えまでの期間に相当することから、建設需要に起因するサイクルと考えられており、子が親になるまでの期間に近いことから人口の変化に起因するとする説もあります。
ケインズ(1883-1950)の有効需要の原理
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◆ ジョンメイナードケインズ(1883-1946)
ケインズはそれまでの経済額の主流だった新古典派経済学を覆す新しい経済理論を打ち出し、ケインズ革命と呼ばれる一大センセーションを巻き起こしました。
- 労働・資源は充分に余っており、労働者は不完全雇用の状態である。
- 社会全体の資本量は変化せず、したがって技術は変化しない場合を考える。
- 資本の間には競争があり部分的な不均衡は生まれない。
1. 消費性向を高め貯蓄性向を低めること
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