アベノミクス政策効果と突然の衆院解散のストーリー!?
本日18日、安倍首相は消費税率10%への引き上げを先送りする方針と今週中に衆院解散に踏みきる表明ををしました。今回の衆院解散のシナリオとはいったいどのようなものだったのか。今回はこの件について書いていきたいと思います。
なぜ突然の衆院解散劇へと導かれてしまったのか?決定的な要因は消費税率の引き上げの延期でした。シンプルに考えるとアベノミクス政策で積極的な財政出動を行った結果、多額の財政赤字ができてしまった、その結果増税をしなければならない背景が出来上がってしまっている中、安倍首相はアベノミクス政策で経済効果が見られたら増税をするとマニフェストで公約をしており政策で予想していた効果が現れなかったことでこの度「増税を延期する」と表明したことが政策に対する国民への不信感を抱かせる背景を生み出してしまった、更にGDP成長率の速報値で経済効果を表す数値によって政策効果が明確に出されたことも重なって今回の突然の衆院解散劇へと導かれてしまったと考えられます。
それでは実際にアベノミクス効果を示す経済効果を表す数字である国内総生産GDP成長率はどうなのでしょうか?今期はアベノミクス第三の矢である「民間投資の喚起」のフェーズに突入し目標である「名目GDP成長率3%程度、実質GDP2%の実現」を予定していたのに対し実際には民間の設備投資額が思った以上に伸びず7~9月は名目-3%、実質-1.6%と2期連続マイナス成長となり非常に残念な結果をだしています。世論ではここで一度増税に対しての意思表示を問うべきといっておりますが、この数字では実際には増税への世論の見解はほぼ反対になると思って間違いないでしょう。
それでは今回の衆院解散を世論はどう見ているのでしょうか?実は今回の衆院解散についてはインターネット等で法律根拠とその解散理由について議論がなされているようです。衆院解散の法律根拠については任期満了前の衆院解散は憲法第7条「天皇の国事行為」と憲法第69条「衆議院の内閣不信任」の2つの事由によります。
■第7条 天皇の国事行為
天皇は内閣の助言と承認により、国民のために次の国事に関する行為を行う。
③衆議院を解散すること。
■憲法第69条 衆議院の内閣不信任
内閣は、衆議院で不信任の決議をしたときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
今回はどちらの法律根拠によって解散が行われるのでしょうか?一般的な憲法理解では憲法第69条根拠で考えられますが、現時点で憲法第7条根拠に基づく可能性もあるようです。憲法69条と憲法7条の法律根拠の違いとは何か。憲法解釈では大きく異なっている部分は内閣総辞職がありえるかどうかということが二つの条文による明確な違いです。仮に憲法69条の内閣不信任決議による衆院解散では衆院解散を拒むことができた、更には内閣総辞職だけでも良かったのではないかということも議論の的になります。
では憲法第7条の天皇の国事行為である場合はどうなのでしょうか?国事行為の場合の衆院解散は一般的にはあくまで特例として定められており、内閣の助言で天皇が国事行為として衆院解散を行うことになり、内閣総辞職については定められていません。
更に今回の衆院解散による議論の的になっている件が「明確な理由がない」と見られていること、実際には解散へのシナリオと背景はあるが「明確な理由」と呼べるものがないと私は考えています。GDP成長率速報値により政策効果とそれを考慮した上での増税延期により背景は出来上がっていますが、ここで述べている明確な理由とはなんなのでしょう。突き詰めて考えると政策効果による結果を「明確に理由」として表明しないことには民意は納得しないということを訴えているのだと考えられます。そのことが「増税について一度民意を問うべき」との件と共に世論から批評をうけることになった原因のようです。
それでは衆院解散とその後の流れはどのような流れで行われていくのでしょうか?これを読まれている方はよくご存知かと思われますが、衆院解散後の流れは憲法第54条法律根拠により解散後40日以内に総選挙が行われ、その後30日以内に最初の国会(特別会)が開催されることとなり、旧内閣が総辞職することになります。つまり内閣発足まで最低でも40日以上最長70日がかかります。その間、新内閣が発足するまでは旧内閣が内閣の仕事を行っていき新内閣発足後初めて国会の収集で旧内閣は解散となり、憲法70条法律根拠により新内閣総理大臣の任命がされることになります。
それでは今回の衆院解散によってどのような影響が発生するのでしょうか?まず一つ目が衆議院が解散した場合は憲法54条法律根拠により両院同一会期の原則により参議院は閉会となり参議院で定められることも停止状態となります。そのため安倍首相は審議中の「地方創生関連2法案」及び外国人漁業規制改正法案を18日までに参院を通過させ成立させた上で解散させる方針で取り組んでいる模様です。その他の法案については最低でも40日以降に成立される見通しとなり世論では消費税増税とともに時間稼ぎと見られており政策に消極的であると見られ国民に不信感を感じさせてしまうことでしょう。
二つ目が衆院解散にかかる経済効果ですが、今回の衆院解散によってどの程度の金額が動くことになるでしょう。ざっと500億~600億の金額が市場に出回ることになります。つまりはアベノミクスで顕著な効果が見られなかった分、解散によって一時的に市場に紙幣供給量を増やすことで若干の経済効果があるともと予想されます。しかし増税を控えアベノミクス政策の期待が下がり景況感ムードが下がってしまった現状では企業は設備投資の控え一般家庭では消費が停滞され貯蓄に回ることが予想されます。
三つ目がアベノミクス経済成長戦略に新たに加えられる政策若しくはそれに変わる新たな成長政策への期待が高まります。世論は今回のGDP速報値でアベノミクス政策の経済効果による恩恵は少ないと見ている傾向があります。実際には前回の増税とあいまって経済効果が見られるのは時期尚早とも言えますが、速報値を見るかぎり現時点で経済成長効果として顕著に表れておらず、このムードを変えるには新たな経済成長政策の表明が必要であり、アベノミクス成長戦略の継続の可否とともに衆院選選挙の一つのポイントとも見られています。今回の衆院解散によって市場全体は落ち込みが予想されます。しかしこの新たな政策への期待感を高め打ち出すことによって不信感を拭い景況ムードを高め回復に向かってほしいと考えています。
■憲法54条 衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会
①衆議院が解散された時は、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
②衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
③前項ただし書の緊急集会においてとられた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
■憲法70条 内閣総理大臣の不存在または新国会の召集と内閣の総辞職
内閣総理大臣がかけたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは内閣は総辞職をしなければならない。
現第2次安倍内閣(改造)は前回の安倍内閣から引き続き集団的自衛権、集団安全保障やアベノミクス政策の行使など多大な功績を残しており、今後もアベノミクス政策によって徐々に数値に出して経済成長と活性化につなげて欲しかった、そして衆院解散の考えは留まって欲しかったと思われる方も多いはずです。そのため、今回の衆院解散劇は晴天の霹靂で世論も大きく戸惑っています。
私自身もアベノミクス効果を実感し景況感ムードの高まりを感じるには現時点では時期尚早であり、今回の突然の衆院解散は必要なプロセスが不在であり改造内閣が発足して間もない現状としては早すぎる決断であることから反対ではありますが、速報値が出され衆院解散が決定されてしまった今、現安倍内閣のラストスパートを応援しながら今後の成り行きを見つめていきたいと思っています。
2013/5/07 アベノミクスの効果は!?
最近では数年ぶりの企業の賃金ベースアップ報道をはじめ失業率の減少、株価の上昇など景況感がよくなっているニュースを耳にしておりますが、今回はその要因となったアベノミクス政策について書きたいと思います。
まずはおさらいとしてアベノミクス政策とはどのような政策なのでしょうか。アベノミクスの語源の由来は1981年1月20日から1989年1月20日の間にアメリカ合衆国の大統領として就任したレーガン大統領が行ったスタグフレーション状態の経済の回復に向けた自由主義経済政策の「レーガン」と「エコノミック」を結びつけたレーガノミクスに由来し、第二次安部内閣が2012年12月26日に発足したのちに2013年2月28日 第183回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説に打ち出した「3本の矢」と呼ばれる政策を柱とし、「停滞の20年」を踏まえてデフレからの早期脱却と「再生の10年」を目標に掲げた成長戦略の経済政策です。
この3本の矢とは「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資の喚起」であり「デフレマインドを一掃しデフレ脱却に向けた大胆な金融緩和」、「積極的に公共事業を推進」し景気を引っ張ることで民間の活力に火をつけ、更に活性化された民間からの「民間の投資意欲を引き出す」といった成長戦略を段階的に展開することで「経済政策パッケージの実行により日本経済を再び成長軌道に」を目的としています。
その成長概要としては「持続的経済成長の好循環」「マクロ経済(景気)とミクロ面(構造問題)の好循環」「経済再生と財政健全化の好循環」の3つの循環を「3本の矢」によって最大限発揮することにより名目「GDP成長率3%程度、実質GDP2%の実現」と、「日本経済再生に向けた成長戦略」に繋げていくことを目標としています。
さて実際のアベノミクス効果ですが第1の矢については大胆の金融緩和政策とはデフレ脱却を目的として「消費者物価上昇率2%目標」と「マネタリーベース増加」更に目標を達成するまでは「無期限の金融緩和」と掲げた大胆な金融緩和政策、「名目3%以上の経済成長の達成」等の日本銀行との政策連携をベースにした経済の持続的な成長の確保を目的とした政策についてですが、金融緩和政策に向けて日銀の黒田日銀総裁が発表した「量的・質的金融緩和」による「2年間でマネタリーベース(市場への資金供給量)を2倍」にすると発言したことは決して大胆な発言ではなく昨年以来マネタリーベースを増やし、市場へ資金供給量が増やすことで円安・株高がつづき雇用に関しては失業率改善につながり多少なりとも景況感がよくなってきた感があります。
さらに目標に関しては2014/04/02に1.5%の物価上昇率を見込んでいると目標は達成できなかったものの2年後には物価上昇2%を見込んだ金融政策を打ち出しています。
しかし一方では今回の金融緩和政策により金利上昇につながってしまった、消費、設備投資の伸び悩みも見られ不安定な面がみられます。
次に第2の矢の機動的な財政出動については2013年の公共事業予算に10兆円超をくみ補正予算を大幅に組むことで公共投資を増加することで景気の下支えを行いながら民間企業に景気を牽引する役目を渡し、税対策で消費税8%上昇につなげる政策をとっています。この経済政策効果については名目GDP1%に寄与している、消費税8%の上昇に踏み切っていることから効果があったとの評価もありますが、他面では国債の発行による赤字財政の膨らみが見られ一概には良いとは言えないようです。
第3の矢に関しては「第1の矢」の政策目標達成・「第2の矢」に続く成長戦略であり、その前提としてTPP交渉による関税撤廃と輸出貿易促進がカギとなるとして注目されていました。TPP交渉については「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として2013年2月に参加を表明しましたが、この効果は実際には期待とはうらはらに輸出減少・輸入増加となり過去最大の貿易赤字額となっています。現時点ではアベノミクスやTPP参加による輸出促進効果は見られず長期的に見る必要があると思っています。そのような背景もあり第3の矢として「民間投資の喚起」については輸出促進に繋がらず民間の設備投資額も減少しており思ったような効果は得られていないような状況のようです。
最後に私の実感としてはアベノミクスの効果としては第一の矢の政策効果は株価上昇・円安傾向・物価上昇につながり順調に成長につながったように感じられますが、第2の矢・第3の矢の効果は現状、効果があまり見られず長期的見ていく必要があるように思っています。今後の課題として公共事業により発行した国債による赤字財政対策、貿易収支赤字に向けた対策、民間の消費意欲・投資意欲の喚起対策・聖域を守りながら自国の輸出促進につなげるTPP交渉問題などさまざまな面で注目が必要ですが、その中で私たちができることは「デフレマインドを一掃」していくこと、そして民間側でも景況感ムードを高めつつ民間投資増加に繋げる一翼を担っていくことがアベノミクス効果を高める共に長期的な日本経済の成長には不可欠であると考えています。
12/20 東京都知事 公職選挙法違反容疑疑惑、政治資金規正法違反容疑疑惑について
今回疑惑の経緯は猪瀬都知事は都知事選前の昨年11月に徳洲会グループから5千万円を受け取り東京地検特捜部が今年9月に公職選挙法違反容疑で徳洲会に強制捜査に入った直後にその金額を返金していることで疑惑を生むことになりました。まず今回の疑惑の争点となっているのがその金額が①政治献金なのか、借入金なのか、私用借入金なのか②都知事がその金を求めたのかどうか③その金を何に使用したのかという部分のようです。
①の問題点の政治献金かどうかについては様々な記事から都知事と徳洲会グループ側衆院議員と「借用書」を取り交わしていること、5千万受け取り後は貸金庫に保管し政治運営資金としては使っていないこと、20年に開催予定の東京5輪への活動に将来に渡って意欲的に取り組む姿勢をとっており5千万円は「私的借入金」であるというスタンスを取っています。しかし世論は徳洲会は強制捜査に入った直後に返金をしていること、衆院議員からの借入れであることで公職選挙法疑惑を生んでしまっていること、更には闇献金としてもみなされ政治資金規正法違反容疑の疑惑を生み世論から叩かれてしまっています。
②の都知事がその金を求めたかどうかという部分については当時のやりとりから都知事からは金額を求めていないという記事を目にしています。しかし昨年11月に徳洲会との会食の時点で都知事選に使用する予定の金額を話していることもあり選挙後の不安な面について話をしていたようです。
③のその金をどのように使ったのかについては1点目で記述したように自宅金庫に保管したままの状態あり、選挙でその金額は全く使ってはいないという表明をしています。
更には上記三点のほかに問題となっているのがこの件に関し記者会見で事実が二転三転となっていること、都知事は当初あいまいな返答をしてしまった部分があったようで話の内容に信用がかけてしまっており疑惑を増幅してしまった部分があるようです。
私としては5000万円を借りてしまったことが過ちであったことを知りつつ返金する意思を持ちながら長期間保管をしてしまい最終的には世論からある意味では的確にバッシングを受けることになってしまい結果として辞任を表明することになってしまった都知事のその辛い心情は察することができません。
昨日の記者会見で猪瀬都知事は「政治家としてアマチュア」と述べています。辞任を表明することになった都知事は「政治家として」という部分には今回の件にかかわった方には様々な思惑がありその見えない思惑に流されてしまったことにそれを総称して「アマチュア」と述べたのか、また今回の件についての都知事としての職務の落ち度を的確につかれてしまったことに関してアマチュアと述べたのかは様々な意図が読めますが実際は都知事だけがわかることでしょう。ただ私としては「政治の闇」の見えない思惑に運悪く巻き込まれてしまったような気がしてなりません。だとしたらそうしなければならない「理由」があったのでしょうか。今後の都知事のご健闘を祈念しつつ、今回の件の成り行きを見つめていきたいと思います。
すぐにわかる特定秘密保護法!?
現時点で特定秘密の指定についての審査方法・審査機関や地方自治体での運用方法・運用機関など疑問点・不明点がありますが情報がわかり次第更新して参ります。
この法律は、国際情勢の複雑化に伴いわが国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大すると共に、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏洩の危険性が懸念される中で、わが国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適格に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることをか鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏洩の防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
1.特定秘密保護法の構成
特定秘密保護法の構成は次の全7章全26条の構成で成り立っています。
第1章 総則 第1条~第2条
特定秘密保護法の目的と定義
第2章 特定秘密の指定等 第3条~第5条
特定秘密情報の指定及び指定の有効期間と解除、特定秘密の保護措置について
第3章 特定秘密の提供 第6条~第10条
特定秘密の行政機関への提供、その他公益上の必要による特定秘密の提供について
第4章 特定秘密の取り扱いの制限 第11条
特定秘密の取り扱いの制限と適正評価除外対象
第5章 適正評価 第12条~第17条
行政機関の長による適正評価の実施、適正評価の結果等の通知、適正評価に関する個人情報の利用及び提供の制限
第6章 雑則 第18条~第21条
特定秘密の指定等の運用基準、関連行政機関との連携
第7章 罰則 第21条~第26条
特定秘密の取り扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らした場合における罰則、過失による罰則
2.特定秘密の指定と保護措置
特定秘密の指定については指定方法は第2章第3条に記載があり、我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある為、特に秘匿する必要があるものを行政機関が特定秘密情報と指定したものをよび第3条に記載されています。更にその指定は行政機関の長によって特定秘密として指定するものとし、指定を受けた特定秘密は文書・図画・電磁的記録によって記録若しくは当該物件に特定秘密の表示をする必要があります。
行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第4号及び第5号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第11条第1号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏洩が我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある為、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法(昭和29年法律第166号)第1条第3項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第4条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定にかかる特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の視覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
二 特定秘密である情報の性質上全豪に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第2号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第1号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
3.特定秘密の提供について
特定秘密の提供については当該特定秘密を利用する必要があると行政機関の長が認めたときは、当該他の行政機関若しくは当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができ第6条~第10条に記載されています。その場合特定秘密を取り扱う範囲を制限すること、利用者、知る者が特定秘密を保護するための保護措置を行うこと、行政機関の長の同意を義務付けられています。他行政機関より特定秘密の指定をうけている情報に関しては他行政機関の長の同意も必要になります。
特定秘密を保有する行政機関の長は、ほかの行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別行に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第6条第1項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
4. 適正評価
特定秘密の取り扱い対象者については行政機関により適正評価を受ける必要があり、その評価結果に基づき取り扱いが認められます。評価対象及び評価項目は第12条で定められています。評価対象は当該行政機関の職員、特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業員、適正評価を間近に実施した適性評価において認められた者であり、適正評価項目は次の7項目です。
尚、適正評価の結果は対象者に通知しなければならず、適正評価の結果その他当該評価対象者について実施された適正評価について、書面で、行政機関の長に対し苦情の申出をすることが可能です。
一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏洩が我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得する為の活動)
二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三 情報の取り扱いに係る非違の経歴に関する事項
四 薬物の濫用及び影響に関する事項
五 精神疾患に関する事項
六 飲酒についての節度に関する事項
七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項
行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、そのものが特定秘密の取り扱いの業務を行った場合にこれをもらすおそれがないことについての評価(以下「適正評価」という。)を実施するものとする。一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合に合っては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第5条第4項若しくは第8条第1項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取り扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について間近に実施して次条第1項の規定による通知をした日から五年を経過していない適正評価において、特定秘密の取り扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、秘密月当該おそれがないと認められるものを除く。)
二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取り扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について間近に実施した適性業かに係る次条第1項の規定による通知があった日から5年を経過した日以後特定秘密の取り扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
三 当該行政機関の長が間近に実施した適性評価において特定秘密の取り扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
2 適正評価は、適正評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項について調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏洩が我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得する為の活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられる恐れが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第3号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを教養し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人に殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第4号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、青年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三 情報の取り扱いに係る非違の経歴に関する事項
四 薬物の濫用及び影響に関する事項
五 精神疾患に関する事項
六 飲酒についての節度に関する事項
七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項
3 適正評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は紹介して報告を求めることがある旨
三 評価対象者が第1項第3号に掲げる者であるときは、その旨
4 行政機関の長は、第2項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に紹介して必要な事項の報告を求めることができる。
5.罰則
特定秘密取り扱い業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らした場合には罰則が与えられます。その場合、①特定秘密の取り扱い業務に従事する者、②特定秘密取り扱い範囲内でそれを知る者、③不正に取得した者、④特定秘密取得のために共謀・示唆・煽動した者によって罰則が別れており、更に故意、過失、未遂によって罰則の重さが変わります。但し自主した場合にのみその刑が軽減されます。
尚、この罰則については日本国外についても適用され第26条に記載されています。
- ①特定秘密の取り扱い業務に従事する者 第22条第1項
十年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役
及び1000万円以下の罰則過失の場合:2年以下の禁固又は50万円以下の罰金
未遂の場合:刑法適用罰則有り - ②特定秘密取り扱い範囲内でそれを知る者 第22条第2項
5年以下の懲役に処し、又は情状により5年以下の懲役
及び500万円以下の罰金過失の場合:1年以下の禁固又は30万円以下の罰金
未遂の場合:刑法適用罰則有り - ③不正に取得した者 第23条
(人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の搾取若しくは損壊、施設への侵入、優先電気通信の傍受、不正アクセス行為によって取得)10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役
及び1000万円以下の罰金未遂の場合:刑法適用罰則有り
- ④共謀、示唆、煽動した者 第24条
特定秘密の取り扱い業務に従事する者に共謀、示唆、煽動した場合
5年以下の懲役特定秘密取り扱い範囲内でそれを知る者に共謀、示唆、煽動した場合
3年以下の懲役
参考サイト:[特定秘密保護法(秘密保全法) 資料]
朝日新聞デジタル:特定秘密保護法案に関するトピックス
東京新聞:特定秘密保護法:特集・連載(TOKYO Web)