シュンペーター(1883-1950) の景気循環理論

3月 25, 2013 · Posted in 経済理論入門 

◆ヨーゼフアロイスシュンペータ―(1883-1950) シュンペータの景気循環理論

20世紀前半を代表する経済学者としてケインズと並び称されるシュンペータ―はケインズのもっとも痛烈な批判者でした。理論的な立場はもとより政治の世界でせっきょ区的に政策に関与したケインズに対して理論体系の構築に全精力を注ぎこんだのがシュンペータでした。

シュンペータが40代の終わりにハーバード大学の招きをうけてアメリカにわたり完成させた著書が「景気循環論」です。その副題は資本主義家庭の理論的・歴史的・統計的分析」です。 ここでシュンペーターは景気循環のメカニズムを分析するためにそれまでのキチン循環、ジュグラ―循環、コンドラチェフ循環という異なる景気循環のプロセスを複合的に捉えています。 そして景気循環の本質は外的な要因による変化ではなく企業家の革新による自立的変化による減少だという考えを導き出しています。企業家の革新とはシュンペーターの理論の中心概念であり今もイノベーションといった言葉で企業家精神として受け継がれています。イノベーションは初期の著書『経済発展の理論』では新結合と呼んでいました。イノベーションとは企業家の革新として経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することでありシュンペーターはイノベーションとして以下の5類型を提示しています。

  1. 新しい財貨の生産
  2. 新しい生産方法の導入
  3. 新しい販売先の開拓
  4. 新しい仕入先の獲得
  5. 新しい組織の実現(独占の形成やその打破)

経済発展は生産要素の革新から生まれその革新による錯乱作用が均衡状態を回復するとき、新しい価値体系と大量の生産物が生まれ、このダイナミックな景気循環繰り返しの中で資本主義は進歩を遂げてきました。 しかしその進歩のなかで大企業の出現、企業組織の官僚化、革新の組織化といった同意かの避けがたく進展しています。それが経済の社会主義的管理と企業家個人の能力の低下、衰退を招き、それはやがて資本主義経済の崩壊に向かうだろうと予見しました。

ハーバード大学でサンエルソンやガルブレイズらのちの一流経済学者を育てるなどシュンペーターの果たした役割は非常に大きく企業家の革新性を重要視した経済の見方はいまも企業家たちのあくぃだで幅広く支持されています。

そのスケールの大きな理論は20世紀後半に爆発的な発展を遂げた世界経済を買い得するための遺産を数多く残しています。

◆ジュグラー循環 物価

利子率の変動などから経済活動には7-10年周期の循環運動があることを理論づけをしている。 中期波動とも呼ばれる。企業の設備投資に起因しています。フランスの経済学者J・クレメンス・ジュグラーが1860年の著書の中でその存在を主張したため、シュンペーターの景気循環論から「ジュグラー循環」と呼ばれています。

◆キチン循環

平均40か月の周期をもつ循環があり4つのジュグラ―循環には2.3個の小循環があることを説明しています。 キチンの波は在庫 の増減に伴い生じる景気循環であるとされており、在庫循環とも呼ばれアメリカの経済学者であるジョセフ・A・キチンが提唱したことによりその名前の由来となっています。

◆コンドラチェフ循環

卸売物価指数、公債価格、賃金率、輸出乳額、石炭生産量、鉄生産量を分析して50年前後の長期波動を発見しました。ロシアの経済学者ニコライ・ドミートリエヴィチ・コンドラチエフによる1925年の研究でその存在が主張されたことから、シュンペーターの景気循環論によって「コンドラチェフの波」と呼ばれ、その要因としてシュンペーターは技術革新を唱えています。第1波の1780 – 1840年代は、紡績機、蒸気機関などの発明による産業革命、第2波の1840 – 1890年代は鉄道建設、1890年代以降の第3波は電気、化学、自動車の発達によると分析しています。

◆クズネッツ循環 約20年の周期の循環

アメリカの経済学者サイモン・クズネッツが1930年にその存在を主張したことから、「クズネッツの波」と呼ばれ、商品の生産量と価格の系列らトレンドを除き20年を少し上回る平均周期をもった循環を発見しています。 約20年という周期は、住宅や商工業施設の建て替えまでの期間に相当することから、建設需要に起因するサイクルと考えられており、子が親になるまでの期間に近いことから人口の変化に起因するとする説もあります。

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