すぐにわかる特定秘密保護法!?

12月 19, 2013 · Posted in ニューストピックス!? 
 特定秘密保護法の目的は日本の安全保障に関する情報で特に秘匿することが必要であるものに対し適格に保護する体制を整え、情報の漏洩を防止し国民の安全の確保を目的とする法令です。この法律は2013年12月6日に成立、12月13日に公布されており公布から1年以内に施行されます。
現時点で特定秘密の指定についての審査方法・審査機関や地方自治体での運用方法・運用機関など疑問点・不明点がありますが情報がわかり次第更新して参ります。

■第1条 目的
 この法律は、国際情勢の複雑化に伴いわが国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大すると共に、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏洩の危険性が懸念される中で、わが国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適格に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることをか鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏洩の防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

1.特定秘密保護法の構成
 特定秘密保護法の構成は次の全7章全26条の構成で成り立っています。
第1章 総則 第1条~第2条
 特定秘密保護法の目的と定義
第2章 特定秘密の指定等 第3条~第5条
 特定秘密情報の指定及び指定の有効期間と解除、特定秘密の保護措置について
第3章 特定秘密の提供 第6条~第10条
 特定秘密の行政機関への提供、その他公益上の必要による特定秘密の提供について
第4章 特定秘密の取り扱いの制限 第11条
 特定秘密の取り扱いの制限と適正評価除外対象
第5章 適正評価 第12条~第17条
 行政機関の長による適正評価の実施、適正評価の結果等の通知、適正評価に関する個人情報の利用及び提供の制限
第6章 雑則 第18条~第21条
 特定秘密の指定等の運用基準、関連行政機関との連携
第7章 罰則 第21条~第26条
 特定秘密の取り扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らした場合における罰則、過失による罰則
2.特定秘密の指定と保護措置
 特定秘密の指定については指定方法は第2章第3条に記載があり、我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある為、特に秘匿する必要があるものを行政機関が特定秘密情報と指定したものをよび第3条に記載されています。更にその指定は行政機関の長によって特定秘密として指定するものとし、指定を受けた特定秘密は文書・図画・電磁的記録によって記録若しくは当該物件に特定秘密の表示をする必要があります。

■第3条 特定秘密の指定
 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第4号及び第5号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第11条第1号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏洩が我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある為、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法(昭和29年法律第166号)第1条第3項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第4条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定にかかる特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の視覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。

二 特定秘密である情報の性質上全豪に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。

3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第2号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第1号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。

3.特定秘密の提供について
 特定秘密の提供については当該特定秘密を利用する必要があると行政機関の長が認めたときは、当該他の行政機関若しくは当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができ第6条~第10条に記載されています。その場合特定秘密を取り扱う範囲を制限すること、利用者、知る者が特定秘密を保護するための保護措置を行うこと、行政機関の長の同意を義務付けられています。他行政機関より特定秘密の指定をうけている情報に関しては他行政機関の長の同意も必要になります。

■第6条 我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供
特定秘密を保有する行政機関の長は、ほかの行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別行に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
■第9条
特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第6条第1項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

4. 適正評価
 特定秘密の取り扱い対象者については行政機関により適正評価を受ける必要があり、その評価結果に基づき取り扱いが認められます。評価対象及び評価項目は第12条で定められています。評価対象は当該行政機関の職員、特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業員、適正評価を間近に実施した適性評価において認められた者であり、適正評価項目は次の7項目です。
 尚、適正評価の結果は対象者に通知しなければならず、適正評価の結果その他当該評価対象者について実施された適正評価について、書面で、行政機関の長に対し苦情の申出をすることが可能です。
一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏洩が我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得する為の活動)
二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三 情報の取り扱いに係る非違の経歴に関する事項
四 薬物の濫用及び影響に関する事項
五 精神疾患に関する事項
六 飲酒についての節度に関する事項
七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

■第12条 行政機関の長による適正評価の実施
行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、そのものが特定秘密の取り扱いの業務を行った場合にこれをもらすおそれがないことについての評価(以下「適正評価」という。)を実施するものとする。一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合に合っては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第5条第4項若しくは第8条第1項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取り扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について間近に実施して次条第1項の規定による通知をした日から五年を経過していない適正評価において、特定秘密の取り扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、秘密月当該おそれがないと認められるものを除く。)

二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取り扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について間近に実施した適性業かに係る次条第1項の規定による通知があった日から5年を経過した日以後特定秘密の取り扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

三 当該行政機関の長が間近に実施した適性評価において特定秘密の取り扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

2 適正評価は、適正評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項について調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。

一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏洩が我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得する為の活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられる恐れが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第3号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを教養し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人に殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第4号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、青年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)

二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三 情報の取り扱いに係る非違の経歴に関する事項
四 薬物の濫用及び影響に関する事項
五 精神疾患に関する事項
六 飲酒についての節度に関する事項
七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

3 適正評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。

一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は紹介して報告を求めることがある旨
三 評価対象者が第1項第3号に掲げる者であるときは、その旨

4 行政機関の長は、第2項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に紹介して必要な事項の報告を求めることができる。

5.罰則
 特定秘密取り扱い業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らした場合には罰則が与えられます。その場合、①特定秘密の取り扱い業務に従事する者、②特定秘密取り扱い範囲内でそれを知る者、③不正に取得した者、④特定秘密取得のために共謀・示唆・煽動した者によって罰則が別れており、更に故意、過失、未遂によって罰則の重さが変わります。但し自主した場合にのみその刑が軽減されます。
尚、この罰則については日本国外についても適用され第26条に記載されています。

  • ①特定秘密の取り扱い業務に従事する者 第22条第1項
    十年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役
    及び1000万円以下の罰則過失の場合:2年以下の禁固又は50万円以下の罰金
    未遂の場合:刑法適用罰則有り
  • ②特定秘密取り扱い範囲内でそれを知る者 第22条第2項
    5年以下の懲役に処し、又は情状により5年以下の懲役
    及び500万円以下の罰金過失の場合:1年以下の禁固又は30万円以下の罰金
    未遂の場合:刑法適用罰則有り
  • ③不正に取得した者 第23条
    (人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の搾取若しくは損壊、施設への侵入、優先電気通信の傍受、不正アクセス行為によって取得)10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役
    及び1000万円以下の罰金

    未遂の場合:刑法適用罰則有り

  • ④共謀、示唆、煽動した者 第24条
    特定秘密の取り扱い業務に従事する者に共謀、示唆、煽動した場合
    5年以下の懲役特定秘密取り扱い範囲内でそれを知る者に共謀、示唆、煽動した場合
    3年以下の懲役

参考サイト:[特定秘密保護法(秘密保全法) 資料]
朝日新聞デジタル:特定秘密保護法案に関するトピックス
東京新聞:特定秘密保護法:特集・連載(TOKYO Web)

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